フィクション

「この子泣いてた跡がある……」

恵は寝かせた女の子の頬に涙の跡を見つけ呟いた。
そして、仁を鋭い目で見て

「ヒトくん、女の子泣かせたの?」

と、いつもよりも低い声色で聞いた。
それを聞いた仁は、ビクビクしながら

「ち、ちげぇよ!!理由は知らねぇが、俺が来た時にはもう泣いてたんだよ!」

と、男子生徒を指差しながら弁解した。
指差された男子生徒も、恵に睨まれビクビクしていた。

男子生徒は、本能的に恵を怒らせるのは危険だと察知したのか
突然土下座をして、謝り出した。


「すいませんでしたー!!!!」

それを見た仁と恵は少し驚きながらも、男子生徒に事の顛末を聞いていた。