2つのボール

*千里side*


「と、まあ、こんな感じかな」



祐斗の過去を初めて聞いた。

"約束を守るため"かー……。


……って、あれ?



「ねえ、あくまで私の推測だけど、

もしかして、その2人って……」



「そう。……拓と颯だよ」



「やっぱり!!」


小さい頃から一緒に練習してたから、3人の息はピッタリなんだ!


「ホント、拓と颯には感謝してるんだ。

あの2人がいなかったら、今頃ここで野球できてなかったと思うしな。


それに……」



「それに?何?」



急に言葉をつまらせた祐斗。

(どうしたんだろ?)

と思っていると、祐斗が私の耳元で





「千里に、こんな近くで応援してもらえなかったかもじゃん?」





と、小声で言われた。