2つのボール



「「……え?」」


思わず2人で聞き返してしまった。



「遠くに行くっていっても、ずっと会えないわけじゃないでしょ?


それに僕たちには野球がある!

大きくなって、もっともっと野球上手くなれば、いつか会える!


この前テレビで見た『甲子園』とかで!」



……正直、夢みたいな話だと思った。

でもその可能性を信じずにはいられなかった。



俺もテレビの前で食い入るように見た甲子園。

そこでプレーする高校生はすごくカッコ良くて、俺も甲子園で野球をしたいと思った。


だから、男の子が言ったことにもうなずけた。



「甲子園…。

そうだ! 俺たちには野球があるんだ!

また、3人で野球しよ!

それで一緒に甲子園に行くんだ!」


「「うん! 約束!!」」




そこでできた3人の約束。


『3人でまた野球をする。

そして甲子園に行く。』


まだ5歳だった俺たちには10年以上先のことだった。

でも、大切な大切な約束となった。