2つのボール



「ここの公園でさ、ガキの頃から2人でよく遊んだよなー」



「へ?」



いきなり、悠貴が話し始めた。



「千里なんてさ、毎日のように転んで泥だらけになってたよな。

そんで、そのたびに母ちゃんに怒られて!


俺、最初はお前のこと女だとは思えなかったもん笑」



「なっ……!」



今それを思い出す!?

しかも、私はちゃんと女の子だし!



「……でもよ。


そんな元気な千里に、俺はいつの間にか夢中になってた。

気づいたら、好きになってたんだ。

そんで、ずっと守りたいとも思ってた。



でも、告白する勇気なんて俺には無かった。


それに、

千里の1番近くにいられるのは幼なじみである俺だ

とか勝手に思いこんでた。



そんな時だよ、聞いたのは。

お前と荻原が付き合い始めたっていうこと。


ハッキリ言ってすんげーショックだった。

告白もできねー俺が言うな、って感じだけどな。


それからは、お前らを影から見てることしかできなかった…。



でもな、お前と荻原が喧嘩してるっぽくなった時、チャンスだと思っちまった俺がいた。


しかも、千里が弱ってるところにつけ込んで告白までした。


ほんとサイテーだよな、俺……。



お前を守るどころか、逆に苦しめちまったんじゃねーか、って

今でもすっげー後悔してる。



……ごめんな、千里」