2つのボール



「祐斗……」


私は、隣にいる祐斗にそっと声をかける。


「ん?」


その祐斗の返事は、さっきの声とはまるで別人のように優しいものだった。



「もう、いいよ。

教室に戻ろ?」



「え、千里、大丈夫なのか?」


「うん。

私は、大丈夫だよ。

早瀬さんも、もう何も言ってないし」



それに、祐斗の低くて男の子らしい声も聞けたし……


ってことは、口には出さない。


さすがにちょっと場違いだもんね?



「そっか、それならいいんだ。

それじゃ、教室行こーぜ」



そうして、空き教室のドアへと向かう私たち。

その時……




「おい早瀬」



祐斗がいきなり、私のほっぺにキスを落とした。



私の体温 (主に顔) は急上昇し、早瀬さんもこちらを見てボーゼンとしている。


すると……


「俺はこいつ以外考えられないから。

もう、俺たちには近づくなよ」



祐斗はそう言い放ち、私の手をひいて、空き教室を後にした。。。