「菜津ってサラッとすごいこと言っちゃうよね…」
相変わらず呆れ顔の美優紀。
「え?何が?」
すごいことなんていった覚えないんだけどな…
私が首をかしげているとハァア~と深いため息をされる。
「あっ!そういえばささっきの入学式でさ」
美優紀が言いたいことがわかんないから話題を変える。
入学式ってどこ行っても校長先生の話の長さは変わらんと思うんだよね~。長すぎ!
「先輩にね、すごくカッコいい人がいたんだよ!見た?」
美優紀の手を握って身を乗り出す。
「あんたのカッコいいは信用ならん!」
あと近い!と言われて手を振り払われて肩をおされる。
えー美優紀ひどいー!
まああの先輩もカッコよかったけど結城君のが何百倍、いや何千倍カッコいいけどね!
「あーでもあたしがカッコいいって思った先輩はいるけどね」
ニッと笑ってそういう美優紀。
なんだ、美優紀もカッコいいって思った先輩いるんじゃーん!
「絶対一緒の人だよ!」
「いや、それは絶対ないわ」
即答されたんだけど!
そんなに否定しなくてもいーじゃん!
「あ、先生きた」
私が何か言い返そうと考えてると美優紀がいった通り先生が教室に入ってきた。
くっそー、何も言い返せなかった…。
渋々姿勢を正して先生の方を向く。
それと同時に美優紀も前を向いた。
結城君は、とチラッと横を見ると少し目があった。
あわてて視線をそらす結城君にやっぱカッコいいなーとほほが緩んだ。
