「ぱとりさんと一緒にいるとその内大変な事に巻き込まれますよ?」
学校の寮のような二人部屋。一人称をぱとりさんと言う少年ぱとりむぱす。赤茶色の髪に紅玉のような髪飾りで前髪をあげた少しタレ目の少年だ。
「ぱとが.....いるから平気。」
口数の少ない少年が玄(くろ)。黒の猫耳ニット帽に焦げ茶の髪少し大きめの服を着て目はいつも虚ろな少年。
「そんなこと言って眠いの?」
ぱとりむぱすの問いに玄は、黙って頷いた。
「もう寝なさい。明日はぱとりさんたちにとって、最初で最後の大舞台だからさ。」

「ここですか。」
SLL特別治安部第一部隊巡回エリア第4区にて、ぱとりむぱすと玄は、少し大きめのビルの屋上につく。
「大仕事?」
「そうですね。ぱとりさんは、些か楽しみですけどね。」
不安そうな玄は、さておき、ぱとりむぱすは、とても楽しそうに微笑んだ。

『第4区にて、微弱ならがらハックソフトでのデータ流出可能性発生。第一部隊は直ちにフィールドに向かってください。』
「了解。立て続けだが気を抜かずに気合入れて任務にかかるように。」
@モグが、諸注意を簡単に言うと直ちに第4区のフィールドに向かった。

「探してますね。まあ、微弱なハックソフト反応でここまで特定出来ることを逆に褒めたいですね。」
ぱとりむぱすは、屋上のフェンスにもたれて相手が来るのを待ち構えている。

「ここか!」
数分後@モグがぱとりむぱすのいる屋上にたどり着く。
「待ってましたよ?ナイト様。」
ぱとりむぱすは、紳士的な挨拶で相手を挑発する。
「で?何が望み?」
@モグは、動じずに話し合いができるか探りを入れる。
「さあ?知りませんね。そんなにぱとりさん達の上が気になるんですか?まあ、そんなことされてれば、ナイト様だから当然ですかね。」
紳士的な微笑みは変えないぱとりむぱす。
「何故その事を...。」
@モグは、相手が考えることをわかるぱとりむぱすに異変を感じる。
「ぱと...凄いからだよ。」
ぱとりむぱすの後ろから、玄は、ひょこっと顔出していった。
「遅れて到着いたしまた。」
リルリル、~斗、イケの三人が駆けつける。
「SLL特別治安部第一部隊隊員イケほか2名。ハック容疑の疑いで取り締まらせていただく。」
SLL特別治安部の決まり。まず、自分から名乗ることをイケが簡単に済ませる。
「丁寧に自己紹介どうも。ぱとりさんの名前はぱとりむぱす。後ろにいるのが玄です。」
一礼すると名前を名乗るぱとりむぱす。
「ここで何をしていた?」
イケは話が通じると思い、質問を投げかける。
「貴方達を待ってました。ナイト様を潰すよう上からの命令なんですよ。」
ぱとりむぱすは、微笑みながらさらりと言った。
「へー。それなのにモグだけの時に奇襲かけなかったんだな。」
相手が馬鹿だなと思い嘲笑うようにイケが告げる。
「まとめて潰したほうが楽じゃないですか?別にほんとはしたいわけじゃないし?ぱとりさんとしては、ログアウト出来ないようにさるて、身動き取れないんで従う形ですし?」
相変わらず微笑みをやめないぱとりむぱす。簡単に自分の諸事情を話した。
「因みに...ここで任務投げ出したらリアルでも生きて帰れない。」
またぱとりむぱすの後ろからひょこっと現れて補足した。
「...。」(ゲーム会社の上に関係者がいるのか?)
@モグは、何も言わずに疑問を浮かべた。
「まあ、そういうことなんでお手合わせしていただきますね。強制的ですけど。」
ぱとりむぱすは、微笑みを最後に大量の爆薬を取り出した。
「ここに爆薬があります。どうするでしょう?」
言い終わらぬうちにぱとりむぱすは、爆薬をそこら中にまき散らした。
「残念。こうします。」
ぱとりむぱすが指を鳴らせば爆薬に着火し、瞬く間に爆発していった。
「...っ」
それを鍛えられた第一部隊メンバーは間一髪で避けた。
「流石にお強いですね。でも、こちらが二人ということを忘れては行けませんよ?」
クスッと語り終わる前に玄は、手から何かビームのようなものを放った。
「うぐっ...」
もともとSLLの中でもオペレーターに近いイケが逃げおくれかすってしまった。
「爆薬と玄の能力ライトアローについてこれますかね?」
フフフと楽しそうに語りかけるぱとりむぱす。
「その子消えてもらいますね?」
「やめっ...」
@モグが、言い終わらないうちに玄がイケにトドメをさした。
「イァ...」
体がのけぞり口からは大量の血。恐怖で顔つきは強ばっていた。
「ごめんね?でも、人の死に顔が一番美しいって言うし許してね?」
ぱとりむぱすは、血が全て出て白くなったイケの瞼を閉ざし頬をそっとなでた。
「うああああぁぁぁぁ!」
その時後ろから@モグが金属バットでぱとりむぱすの後頭部を殴った。
「...っ!?」
いきなりのことで予想がつかずぱとりむぱすは、倒れ込んでしまう。
「ライトアロー!」
もう一撃@モグがぱとりむぱすに加えようとした瞬間に玄が呪文を唱え@モグを狙いそれを素早く@モグがかわしたため、ぱとりむぱすには、くらわせれなかった。
「ぱと...下がって。」
玄がそう言うと、ぱとりむぱすは、どういう原理でか後ろに下がってから宙に浮きはじめた。
「...んで、イケを...」
@モグは、怒りで我を忘れていた。
「モグさん...。」
リルリルも、~斗もこればかりは手を出せないようす。~斗は、悔しさで手を握りつけ爪の食い込んだ部分からは微かに血が流れていた。
「ぱと...は、守る」
玄が言ったその直後から攻撃を連打で放つ。@モグは、それを難なく交わすも武器である金属バットの使用範囲内に近づけず苦戦していた。
「壊れろ...。」
~斗が、珍しくお怒りのようで、放ったイケ愛用のナイフが玄に刺さり玄は、身動きが取れなくなった。
「お前らの負けだ。償ってもらうぞ。」
~斗が苛立ちを隠しきれない表情で告げた。か「負け?負け...たら、ぱとが...負けたくない!ぱとが死んじゃ...いやぁぁぁぁぁ!!」
その時、玄が叫び始めた。悲痛の叫びだ。すると、目は瞳孔が完全に開き切り白目だった部分が黒くなり背中からは大きな黒い翼が生え、尻尾のようなものも、2本生えている。まるで悪魔にでも生まれ変わったようだ。
「なん...だ?」
ぱとりむぱすは、唖然としたように声を漏らすらす。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
玄は、悲痛の叫びと共にライトアローを乱射する。誰を狙ってるかもわからずにただ乱射を続けた。
「何か知らないのかよ!お前!」
~斗は、ぱとりむぱすに問いかけた。
「玄...が、苦しんでる!多分上の連中に神経プログラムになにか仕込まれたみたいだ!頼む!お前らにお願いだ!玄を...活動停止させてやってくれ。」
ぱとりむぱすは、玄の心からのメッセージをリンクし少し言葉をつまらせながら、~斗達に告げた。
「その依頼受けようじゃないか。」
~斗は、ぱとりむぱすの、顔を見てさっきまで憎んでいたがと笑った。
「第一部隊特別任務に移らせていただきますぅー。」
リルリルも納得したように構えた。
「たとえ憎む相手でも、苦しんでいるなら開放しよう。」
@モグも冷静さを少し取り戻し、構えた。
「ぐぁああああ!!」
何もわからないというように玄は、何かれ構わずに建物を破壊したり@モグ達にライトアローを放ったりしている。
「そーれ。」
一瞬の隙を見てリルリルはムチで玄の体を縛り動きを止めそれを見計らったように~斗がぱとりむぱすの爆薬を玄に向かって投げつけた。
「さあ、自分の手でしてもらおうか」
@モグは、そうぱとりむぱすに、告げた。
「ごめんな。玄...。」
最後、ぱとりむぱすは、涙ながらに謝りつつパチンと、指を鳴らし爆薬に火を付けた。大きな爆発音と共に、玄は地面に叩きつけられた。
「ぱと...は...助けてあげて...。」
玄は悪魔のような姿が解け最後の力を振り絞りそれだけ言って力尽きてしまった。