溺愛ヤンキーくん





地味にむかつくんですけど。




何?二人してあたしを馬鹿だと言いたいのか?



まぁそれより…



「……中入ろーよ」


「…だな」


なぜか秋川皇雅が扉を開けてくれた。





………あたしが開けたかったのに。


――――キィ…――――






「「……わお」」



うわっ…



合唱しちゃったじゃん。最悪。





そんな事より。




何?これ寮なの?





ロビーには赤い絨毯が敷いてあって、



高そうな家具が置いてある。



うわぁ…



あたし3年間ここに住むの…?





あぁ〜…




考えただけで嫌なんだけど。




そんなあたしを置いていく無情な秋川皇雅。



あたしは急いでついていく。



「…おい秋川皇雅。ちょっと待てよ」


「…お前が遅いのが悪い」



いらっ。



なんだこの野郎。



ぼこす…いやいや止めておこう。



抹茶ラテのため…




「…さーせんでしたー」


「…なっ…まぁいいや」


「……で、どこに行ってるんだ?お前。階段じゃねぇのかよ」


「…階段なわけねぇだろうが。20階だぞ」


「…は?20階?でも部屋の番号…」


「…この寮は番号なんか当てになんねーんだよ」




まじかよ…



「…まさか部屋の端っことか言わねぇよな?」


「そのまさかだけど?」


「…最悪」


「…同感だ」


「…襲うなよ」


「…殴られるから襲えねぇよ」


「…ならいいけど」




そんな事を話ながら


秋川皇雅に付いていくと、エレベーターがあった。



「…これに乗るのか?」


「乗らねぇよ」


「…じゃあどこのエレベーターに乗るんだ?」


「……あれだよ」


秋川皇雅が指差した場所は、


今あたし達の前にあるエレベーターよりも塗装が綺麗なやつ。


「…あれに乗るのか?」


「…あぁ」




しかし…



なんでわざわざ変える必要があるんだ?





「なぁ秋川皇雅。何でエレベーター変える必要があるんだ?」


「…他校の女子がよく忍びこんで来るからだとよ」


「…なるほどねー」




だとしたら絶対鍵掛けなきゃなー。



入られたらめんどくさい。