中学一年の春期講習会で俺と花は出会った。
塾なんか行きたくはなかったけれど
最初が肝心だという 新しい父親が言った。


新しい父親のおかげで こうやって生活できる幸せを
俺と母親は感謝していたし
同じ年のキョンタっていう残念ながら女だけれど

なぜか弟みたいな存在のきょうだいができたのも
楽しかったし 孤独感から解放されて

合わさった家族だったけど俺は幸せだった。


父親のいない シングルマザーの母親と母子家庭で
母親は俺を育てるのに 必死で働いていた。

一人で眠る夜は怖くて 何度も見えない恐怖に
怯えては泣いたけれど


母親を悲しませたくなくて我慢した。


そんな母親がとても幸せそうな顔に変わったのは
キョンタの父親との出会いだった。

だから俺は 今まで一人で頑張ってきてくれた母親の
幸せを願って 新しい家族と上手くやりたいと思ってきた。


「もともと成績はいいんだから 上を目指せ。
千尋は男なんだからいずれは家族を養っていく
努力することはいいことだ」

父親と釣りに来てはいろんな話をした。
新しい父親そして一人娘のキョンタ

俺にも新しい家族が増えて 多少の努力も
幸せのうちの一つだった。