その夜 千尋はご機嫌で帰ってきて
機嫌の悪いアタシの地雷を踏んでしまった。


「あれ?メシは?」

「はぁ?勝手に変更とかないから……つくってない」


意地悪としか言えないけどもう何も手につかない。

「悪い~」のいいかたも軽くてムカつく。


「ジャジャ~~~ン!!
キョンタの大好きなロールケーキだぞ~~」

紙に包まれたロールケーキを出して
午後ティーを入れる千尋。


「食べれ」

「いらない ごはん食べたもん」

「別腹だって いつも言ってるじゃん~」

柔らかそうなスポンジは確かに食欲をくすぐる。

「こんなことで機嫌とったってね」そう言いかけたアタシの口に

ケーキを入れる。


甘くて柔らかくて優しい気持ちになった。


「美味しい~~」思わず声が出た。

「美味いだろ~~」

「千尋も食べなよ」

「俺はいい~たくさん食べた」

「は?どこで?」

最後の一口も 千尋によって口に運ばれる。

「これ 花が作ったんだ」


はぁぁ?????


「花がキョンタへってさ」

何言ってんの?アタシの目はきっと今丸くなっている。