ガランとした部屋だった。
千尋が言った通り テレビとゲーム 衣装ケース 布団が一枚


小さなテーブルには ノートと本が置かれていて
いつでも出て行けるようなそんな簡単な部屋だった。


「何にもないんだね」


千尋は笑いながらお湯を沸かした。


「あんまり熱くしたら傷にしみるから……ぬるめの
玄米茶でいいかな」


「玄米茶?」


「俺好きなんだ~」


「うん それでいい」



衣装ケースから タオルを出してアタシの頭をふいてくれた。


「優しくされると情けなくなる」


千尋は無言で拭き続ける。


「寒い・・・・・」

心も体も芯から冷えた。



涙があふれ出て 顔の前にたれてきたタオルで目を拭いた。



「情けないよね アタシ まともな恋もできないんだ」


千尋に知られたくなかった 情けない姿をさらすしかなかった。