「今 来るな。」

千尋が顔を隠した。

え?もしかして 泣いてる?

「泣いてるの?フラれたから?」
思わず口ばしっちゃった。


「そっちまで 噂行ったのか?」そう言うとチッと音を立てた。


「悪ふざけでしょ?その子が落とせるかとか?」

「は?そんなひでーこと誰がしてんだよ」

千尋は体を起こして 目を見開いた。


怖い顔するんだ・・・・・・。
知らない千尋の顔だった。


「元中の子がそう言ってた」

「花ちゃんを?」

「ウブだから からかってたみたいに言ってたけど……」

「マジかよ……」


「千尋もそうなんでしょ?」

千尋はアタシの腕を力いっぱいつかんだ。


「おまえ 何年俺と付き合ってんだよ。おまえには俺の全部
見せてきただろう?そんな男だと思ってんのか?」

ものすごい怖い顔だった。


「痛いって ごめん ごめんって……」

「花ちゃんは 俺の 初恋の人なんだ」


え?初恋の人?真面目なの?
アタシから手を離して 

「だから行きたくなかった塾だって我慢して行ったんだ」
千尋がまたソファーにダイブした。