「俺の名前も書いてくれてたんだ・・・
ちょっとだけしか手伝わなかったけど・・・」


目を細めてページをめくる。


「あ これこれ
この時ちょっと喧嘩して……口きいてくれなくて
でガトーショコラのとこに俺が書いたんだ」


『ごめんって言いたいのに言えない
こんなに苦しいなら喧嘩なんか
しなきゃよかった……ごめんが言えれば
きっとキミはまた最高の笑顔でボクを
見つめてくれるのに 素直になれないから
このちょっぴり苦いガトーショコラを
キミのとんがった口に運んであげよう』


さっきまで近くにいた千尋がまた
遠くへ行ってしまった。


いつまでも アタシの恋は
花という もうこの世に存在しないライバルに
邪魔されてしまう・・・・。


「花も千尋がこうやって来てくれて喜んでるわ
本当にありがとうね・・・・・」


「いいえ 俺こそ・・・・
花に出会って おじさんおばさんに出会って
今こんなに毎日が充実してる。
隣に花がいないのだけが 残念だけど・・・・」


千尋の目の中が潤んできたから
アタシは慌てて目をそらした。