キライノカケラ

「ごめん ちょっと食べる前に 話たいことがあるんだ」

千尋がグラスを置いた。

「熱いうちに食べたら?」

アタシが言うと

「キョンタ 先に食べていいぞ
とうさん かあさん 話があるんだ」

あらたまった様子の千尋にアタシも 箸をおいた。


「こんなギリギリになって言いだすことじゃないんだけど
ずっとずっと考えてて 考えすぎてて先延ばしになって
とりあえず とうさんやかあさんや先生の進める方向へ行ってたんだけど……
やっぱり俺のやりたいことは……他にあるんだ」

「ん?やりたいこと?」

「大学は行かない・・・・・」


一瞬 間があって


「俺 卒業したら修行に行くことにした」


「修行?何の?」
おかあさんも 呆気にとられている。


「パティシエになりたいんだ。
菓子職人になりたい」


胸がざわついた。


「千尋・・・・想像もしてなかったから
ちょっと何て言ったらいいかわからないけど・・・・・
職人の世界は厳しいんだ まずはせっかく合格したんだ
大学で勉強してからでも遅くないんじゃないか?
俺としては安定してる仕事についてほしい
今の千尋なら それも夢じゃないだろ?」

千尋が和やかな食卓を一気に壊してしまった。