親戚の人や近所の人 両親の知人など小さな会場は
あっという間に一杯になったけど


花の友人はアタシと千尋だけだった。



友達のいない子だったから


「来ていたのか?」
声がして振り返ると 先生たちもやってきた。


「おまえ友達だったのか?」

「あ はい 友達になったばっかりでした」

「そうか あの子も千尋と鈴木と付き合って
ずいぶん表情も明るくなってきて これからいろんな
魅力を発揮できると思ってたんだけどな・・・・・」



先生たちも遺影の花の表情に驚いていた。
花の両親としばらく会話をして 帰って行った。



「いい顔だろ?あの顔は俺だけのもんだったんだ」

千尋がポツリと呟いた。


「俺しか知らない花の笑顔・・・・・
たくさんここに残しておいてよかった・・・・」


そう言うと携帯を握り締めた。


「頭の中の記憶なんてすぐに薄れていって
なんとなくしか思い出せなくなるから・・・・
ここには俺の花がちゃんと残っている・・・・・」



千尋・・・・・
アタシだって アタシだって 泣きそうだよ
その想いが突き刺さって痛くて痛くて・・・たまらない・・・・