「疾風!そんなソースがどうとか関係ないよ!」

「そうそう。僕が今まで嘘ついたことある?」


姫乃の言葉に、僚が頷く。眼鏡を軽く押さえて、貼り付いたような笑顔で。


嘘?お前のその笑顔こそ嘘じゃねーか。

無言で白々しく僚を睨むと、本人はいたって楽しそうにクツクツと笑ってやがる。




「僚くんが嘘ついたことありませんねぇ?」

「ね?」

「でもウスターじゃなくて、とんかつソースが一番!」

「……」


あぁ、そうだった。姫乃って、こう言うこと、素で言っちゃう子だったわ。

楽しそうに笑う僚の隣で、俺は気付かれないように溜め息を溢した。




「で、転入生は男の子?女の子?」

「さぁ…そこまでは分からないなぁ」

「つーか、どのクラスに入るんだよ」

「ああ!私達のクラスのつもりでいた!!」


キャンキャン騒ぐ姫乃と僚の会話に横槍を入れながら、俺は玉子焼きを頬張った。

姫乃はまだまだ甘いな。僚がこう話題に出すってことは、俺達のクラスに来るってことだ。