「確かに、普通は一番最初に家族に教わることかもね。たくさん愛されて、感じて。」
一つ大きく息をついて、僚が口を開いた。深緑の眼鏡の奥で、ふと、目が優しい色を灯した。
家族に教わるのか。じゃあ、やっぱり俺はよく分からないのかな。
愛されて、知るのか。
「でもさ。本当に疾風は愛されていないのか?って言われると、違う気がする。」
「は?」
「それは、疾風が自分で気付くことだと思うよ。ヒントはここまで、だね。」
にこりと笑って、僚が立ち上がる。
「戻ろうか」と一人先にファミレスのドアをくぐった僚を、俺は慌てて追いかけた。
愛されている?俺が?
誰に?
