「ねー、何で疾風は疾風なの?」

「…知らね」


無邪気に首を傾げる姫乃に、俺は上手く笑えていただろうか。あまり自信はない。

やっとの思いでコーラを一口飲み込む。


俺がなんで疾風なのか、なんて。

16年間ずっと知りたくて、でも知る由のないことだった。




「僚は?」

「さぁ、何でだろうね?」

「えー!」

「男の子はそんなものだよ」


むむむ。と唸る姫乃は、私もだし、そんなものかなぁと呟いた。