「疾風…」
「何ですか?センパイ、イケメンが台無しっすよ」
じっとこちらに視線を寄せるその顔は、中等部の頃は毎日顔を合わせていた。その頃はまだ背の低かった先輩と、無駄に早熟だった俺は属するチームが違ったけれども。
後輩の俺がレギュラーチームにいるものだから、スパイク隠されたりもしたっけ。
だからこれは、少し昔の憂さ晴らしの類いかもしれない。
「サッカー辞めて、随分派手に遊んでるらしいな」
「お陰さまで。」
「羨ましいご身分だな」
「あ、高いところからスミマセン」
ぽりぽり、と頭をかいてみる。すると少し悔しそうに舌打ちを鳴らして先輩は歩き出した。
頭をあげることはなく。
