クロスロード・パズル





「やめてください…!」


階にすれば4階のこの屋上。腕を掴まれた養父の声が届くには十分な距離だった。

自分がふられる、という状況に慣れていないのだろう。


酷く怒った様子で、男が養父に詰め寄った。




「ださいっすよー、センパイ」

「格好よくは、ないねぇ」



一瞬、パイプをつたって倉庫の屋根に下りて養父を助けに行こうかとも思ったけど。そんなドラマみたいなこと、上手くいくかと考えを改めた。

その代わりに、と声を張り上げると。一瞬こちらを見てにやりと笑った僚もまた、応戦する。


養父と先輩は、二人揃ってこちらに視線を向けた。その隙をついた養父が先輩の腕から逃れると、頭を下げて駆け出した。