「早く飯食おうぜ。昼休み短いんだよ、たっく」

「疾風が女の子と真面目に付き合ってれば、もっと昼休み長いよ?」

「僚、いいこと言うねー!」


陽の当たらない裏庭から、中庭に移動する。俺の弁当は有り難いことに姫乃がしっかりと持ってきてくれていた。

中高一貫校のこの佐津(さつ)学園は、広い中庭を持ち、そこに沢山の机と椅子が並んでテラスのようになっている。更に校舎とテラスを繋ぐ部分は学食、という、何とも生徒に優しい学校だ。


季節は春。中学からの持ち上がりが殆んどの為、新入生と言えど新鮮さに欠ける。そんな五月だ。

心地よい暖かい風と日射しを浴びられるテラスは賑わっていた。




「腹へったなー」

「僕は面白い見せ物があったから、胸がいっぱいだよ」

「お前いい性格してんなぁー」