俺と一緒に屋上に来た僚だったけど、すぐさまフェンスまで歩みより、姫乃に並ぶ。
悪趣味だろ、お前ら…
「また言うのかな?」
「『好きな人がいるから』?」
「んー…誰なんだろ…」
養父に向き合っているのは、高等部の2年の先輩だった。サッカー部に所属しているはずだ。
俺みたいなにわかイケメンとは違い、もてるって聞いたことがある。
養父の十八番の断り文句は、そんな相手でも出るらしく、養父は頭を下げた。
「で、出た…!」
「ん?」
「ちょ!」
だけど、頭を下げた養父に対して、あろうことか先輩はその腕を掴んだ。
これは少し、危ない空気。
姫乃と僚の声に緊張が走った。
