「姫乃たちは?」 「姫乃は柴山くんのお母さんに電話するって携帯を取りに。村岡くんはお昼を買いに行ってるよ。」 私は、お弁当だから。と、軽く弁当箱を掲げて養父が笑う。 そう言えば、俺、母さんに学校行くって言わずに出てきてたっけ。余計な心配、かけさせたかな。 何となく沈黙でいると、ピピピッと体温計が鳴った。38度2分。上がってしまってる。 俺からそれを受け取った養父は、ぴしりと顔を強張らせて、熱冷ましシートを取り出した。