「はーやーてーっ!」

「覗きかよ」

「相変わらずの冷血漢っぷりだったね」

「ねー!」


最後は瞳に涙を溜めて背を向けた「元彼女」を見送っていた時だった。視線の先の、校舎の影からひょっこりと一組の男女が現れた。


「はやて」と高くて元気な声で俺を呼んだのが、城崎姫乃(しろさききの)という幼馴染みだ。

身長が150cmしかない為、180cm近くある、村岡僚(むらおかつかさ)と並ぶと随分と小さく見える。

その僚はニコニコと笑いながら深緑の縁の眼鏡を直して俺を非難していた。




「今日は割りとすんなりとした別れだったねー!」

「でももっともなことを言われたね」

「うっせーなー。悪趣味なんだよお前ら」


髪を掻きながら言うと、二人は楽しそうに笑っていた。

柴山疾風(しばやまはやて)。それが俺の名前だ。身長は僚よりも低いが177cmあって、そこそこ見てくれも良く。

クラスの2番目、学年の8番目位の立ち位置で行事に関わっていると、まぁそこそこにもてる。それが俺。


高校生にありがちな奴だ。