「最悪だ…」
「どうせお腹出して寝たんでしょ!」
「ちげ…」
「えー?チゲが良いの?おばさんのお粥食べてなさい!」
「(だからちげぇって…)」
いつまでも海で黄昏ていた俺は、難しいことも考えたからか見事に熱を出してしまった。知恵熱が一番の理由だとは、思いたくない。
あくまでも斗己と太陽を背に、闇と融けて混じる海を眺めていたから。のはず。
面倒で授業をさぼっても、風邪で休むとか久しぶりだな…
「ほら!大人しくしてなよね!」
普段とは立場が違うためか。甲斐甲斐しく姫乃が世話をやく。
今はただ身を休めたくて、鼻先まで布団を被る。すると、余程体調が悪いと思ったのか、姫乃は静かに部屋を出ていった。