「驚いちゃうよね、」
初めて病院を訪ねて、俺は、病室がカラフルなことに、まず驚いた。
カスミは小児病棟に入っていたからだ。たまたま、空きがなかったらしいと、カラカラと笑っていた。
ピンクにレースの模様をあしらった壁紙に、動物がプリントされたカーテン。
子供たちの賑やかな笑い声は、出石園とたいして変わらない。
「なんかね、成長期だから。進行も速かったんだろうって」
お医者さんが言うの。でも、全然ピンと来ないんだ。
カスミの声はいつも通りだったけど、腕には点滴の針が刺さり、ずっと痩せた肩を目の当たりにすると、息がつまった。
