その中でも、特に斗己とカスミは仲が良かった。
程々に愛想が良くて、優等生ぶっていた俺とは違い、人見知りのカスミと、小さい頃から無口無表情だった斗己は、いつも一緒に過ごしていた。
そんな中で、運良く俺は、子どもに恵まれなかった柴山夫婦に引き取られることになった。
初めて二人に会ったのは、俺が9歳の時だった。
「疾風くん」
父さんが優しく頭を撫でてくれて、母さんが柔らかく俺の名前を呼んでくれた。
それだけで、大嫌いで、違和感ばかり感じていた俺の名前を、少しだけ認められた気がしたんだ。
園にはまだ物心もつかない小さな子どももいたのに、二人は俺を選んだ。
