不思議なことに、斗己とカスミには、名前さえないままに保護された。そして、俺には何故か「疾風」と名前が記されていたらしい。 生まれたその日に捨てたくせに、一丁前に名前だけ残したんだ。 まぁ、俺をくるんだシャツのポケットにメモが入っていただけで、本当にそれが俺の名前を指すのかも分からないんだけど。 同い年、そして、似た境遇。 苗字がある他の園の子達とは違うシンパシーを俺達は共有し、仲良くなり、次第に、本当の兄弟のようになった。