俺なりに精一杯、好きになる努力はしているつもりだ。
だけど、如何せん好きというその感情が俺には分からないから、どうしてもそれは飯事で終わってしまうのだ。
幼稚園児の、お遊びと一緒だ。
「姫乃、悪い。先帰るな」
「え、」
「帰りは僚と帰れな?」
教室に戻り、次の予鈴がなる前にと、そそくさと荷物をまとめる。
まぁ、空っぽの鞄に筆箱を入れるだけなんだけど。
その鞄を軽々と担げば、姫乃は俺の側まで来ていて。
愛花もいないし、つまんない。とぼやいてきた。
「そういや、休みだっけか」
「あ、酷い!」
ご機嫌ななめなお姫様の頭を撫でて、ごめんともう一度謝る。
姫乃はそれ以上は何も言わずに、でも俺の目も見てくれなかった。