「一途ではないか。」
「直せば」
自覚してるなら。と、斗己が静かに言う。そのまま俺に追い付いて、コーヒーを受け取った。
直せるなら、直したい。
俺だってそう思うけど、どうしても難しいんだよ。
職員室からくすねた鍵で屋上をあけて、二人で日溜まりに腰を下ろした。
無言のままコーヒーをすすって、それさえも早々に終わった斗己がごろんと横になる。
なぁ、教えてくれよ。
誰かに固執して、裏切られたらって考えない?
別に好きじゃなくても、そこそこに態度が可愛ければ、抱き締めることが出来るんだ。
最後は疲れたように別れを告げられるんだけど、人の気持ちって、そんなにすぐに変わるもの?
「知らね。俺男だし」
思い付いただけ質問をペラペラと並べると、斗己は興味なさげに呟いた。腕を枕にして寝そべり、眠る体勢を整えている。
だけど、眠りに落ちる少し前。
「人は簡単に人を好きになるから」
そう斗己は、呟いた。
その逆は、真だったり、するのかな。
