駄目だ。無理。居た堪れない。 弁当の残りをかきこんで、早々に立ち上がった。元々無口で、食べることに集中していた斗己も、同じタイミングだった。 二人で立ち上がり、僚に一言告げる。 「先戻るわ」 「了解」 容器の返却口に向かう斗己と別れて、俺は自販機に向かった。2本分のコーヒーを買う。 ゆっくりと階段を上っていると、じきに斗己が追い付くだろう。 「俺って軽いのかな…」 溜め息と一緒に、そんな声が零れていた。完全な独り言だったそれに、後ろから「まぁ」と相槌が聞こえる。 斗己だった。