みきてぃの言っていた「程々」の意味をようやく理解した。おそらく、俺と僚に転入生を押し付ける形で、姫乃と仲良くさせようって魂胆だろう。
姫乃は、そこそこに見た目が可愛く、世間知らずだ。一人っ子で両親に大切に育てられたこともあって、人と接する時の距離が近く、甘えん坊なのだ。
男子生徒からの人気は絶大だけど、女子生徒には少し妬まれていところがある。苛められたりとかはしていない。それは、俺達で守っているから。
ただ、特別仲の良い子はいない。
近寄りがたい程美人の養父を近付け、気が合えば確かに万々歳、だな。
みきてぃの魂胆を理解して、俺は養父を席に迎えた。俺じゃなくて僚の隣というのは少し気に入らないけど。
「養父、宜しく」
「宜しく」
養父はゆっくりとこちらに来ると、完璧な笑顔で挨拶をした。
だけど、ちらりと。窓の向こうに広がる碧の海を目にして、ゆっくりと目を閉じながら、席についていた。
