よく知った景色だ。

大きな花時計のある公園。パンジーの花が綺麗に敷き詰められている。風に揺れるそれを見て、もう春かと感じた。

その前には芝が広がり、犬を走らすじいさんや、バドミントンをする親子、白爪草で花冠を作る女の子で賑わっている。


そこから、一番離れた所にベンチが一つ、置かれていた。

他のベンチとはいくらか距離がある。何よりも公園の隅に位置する為、そこに腰を下ろしているのは自分だけだった。




ここで誰かを待っているんだ。

来てくれるのかも、いつ待ち合わせているのかも分からない。


広げた膝に肘をあてて手を握る。屈んだまま、その手をゆっくりと広げ、自分の掌の皺を眺めた。

そうして時間を潰しながら、どれくらいの時間を待ったのだろう。長い時間をここで過ごした気がする。




「お待たせ」


不意に、足元に出来た僕の影が、誰かと重なった。

そう君をずっと待っていたんだ。君は誰なんだ?


逸る気持ちを抑えて顔を上げ、待ち人を見上げた。

あぁ、やっと会えるーー!




夢は、いつもそこで覚める。