「おはよってば!」

「…え?」


 私、勘違いしてない…のかな?

 副島君が私を見ているような気が…


「おはよ!!」

「え…あっ…おはよ…?」



 わっ…副島君がこっちに来てる!

 どうしよ!

 なんか意味もなく緊張しちゃう…!




「諸富さん、昨日は本、紹介してくれてありがと!」

「あ、どういたしまして…どう、だった?」

「すっげー面白かった!」

「!!」



 初めて見た。

 太陽みたいな笑顔って、こんな感じなんだ…。





「ん?あれ、オレの顔どうかした?」

「あ、うーうん!何でもない…」


 
 つい見とれてました、なんて言えるわけがない。

 そんな恥ずかしい言葉、言えないよ。



「あ、それでさ。あの本の主人公、結構オレに似てたよな?」

「うん…私もそう思って勧めたの」



 きっと副島君はあの主人公に共感するだろうな、って思って。



「ホントありがとーな!オレ、本読むのちょっと好きになったかも知んねーわ」

「え…本当?!」



 私の影響で本を好きになってくれる人がいるなんて…

 この上嬉しいことはない!!




「うん!それでさ、またお勧めのホントか教えてほしいんだけど…」

「もちろん!私、放課後は図書室いるから」

「分かった、サンキューな!それじゃ、朝練行ってくるわ!」

「あ、うん。頑張ってね!」




 …昨日だけだと思ってた。

 あの副島君と話すなんて。


 それなのに。

 いつもは小さく見える背中が…

 今日はいつもより大きく見える。



 
「・・・・っ」


 どうしよう。