甘党

『きっと心配してるわよ？』
心配って何の？少し怒ってしまった。だが、加奈子さんには逆らえない。
「じゃあ…お言葉に甘えて……。」
半場強制で仕事から上がった。
「お疲れ様でしたぁ…」
ため息まじりに花屋を重い足取りで出ていった。
(情けない…。)
ゆっくりバレないようにいったが、
『恋華ちゃん！』
無理だった……。
彼の名は 伊井 崇 【ｲｲﾀｶｼ】。高校二年生の天然バカだ。クラスのムードメーカー…らしい。
『さぁ。一緒に帰って一夜を過そう♪れ・ん・かちゃん！』
次は大きなため息を憑いてみせた。
「その恋華ちゃんってやめてくんない？ってかもう来るのをやめてくんない？」いつもはギャアギャアうるさい私もさすがに呆れて騒ぐことすらできなくなる。『えー。だってうちら付き合ってんじゃん！いいじゃん？これくらい！!ねっ』 崇は頬を膨らませた。
「ちょっと待て！私、あんたなんかと付き合ってなんかないわよ！」
思わず後ずさる。
…彼が待つようになったのは2ヶ月前のちょっとした出来事が始まりだった。