涙の先のキモチ



   「いや別に。大丈夫ならいい。」

   「すみません。」

   「あんた、歩いてたら突然倒れるし、マジびっくりだよ。」

   心配しているような呆れているような顔をしている男の人が 
  
   少し怖くなった。

   「ホントに、ごめんなさい・・・。」

   「全然、てか、同じ高校?名前何?」

   「上野桜華です。」

   「そっか。ここ暗いから、こっち、明るいトコ行こ」

   男の人は私の返事も聞かずに、私の手を引いてスタスタと行ってしまう。

   男の人だからか、歩くペースが速くて、小走りじゃないと間に合わない。
 
   けど、いつの間にか私の歩くペースに合わせてくれていた。

   この人いい人だなぁ。
 
   「ん、着いた」

   いつの間にか、ショッピングモールに着いていた。

   夏の季節に合わせて、ハイビスカスやヤシの木が飾られて色鮮やかになっていた。

   男の人は、私をベンチに座らせ、私の隣に座った。

   「お前何年?」 
 
   「2年です。」

   「ふーん。」

   「・・・。」

   「・・・。」

    この沈黙は辛い・・・。