涙の先のキモチ

 



  思い出すだけで、呼吸が荒くなる。

  息の仕方もわからなくて、倒れそうになる。

  「薬・・。」

  意識がもうろうとする中、いつも持ち歩いている薬を取り出そうとした。

  だけど、視界がぼやけて、バランスを崩していく。

  あ、倒れる・・・。
  
  バタ・・・。

  あぁ、このまま消えちゃえばいいのに。このまま、この世から、この汚れた、

  信じる必要のない世界から、いなくなればいいのに・・・。


  「おい!大丈夫か!」

   声が聞こえる。やっぱ、消えるなんてムリだよね・・・。

   あほらしい。 

   ってか、誰? 男の人の声・・・?

   これ、うちの高校の制服・・・?

  「おい!大丈夫か!おい!おい!」

   あ、返事しなくちゃ。

  「あ、大丈夫です・・・。」

  意識がはっきりとしてきて、視界がクリアになってきた。

  「すみません、大丈夫です。」

  男の人は、心配そうに私の顔を見つめる。