デリートボタン

正直、何がなんだか分からない。

突然やって来た転校生が、まさか私の彼氏だなんて誰がそんなの想像する?

あの噂だって、ほんとかどうか分からない。

たまたま、似た人が現れただけ…かもしれないじゃん。

「私っ…私っ…」

『俺、お前のこと大事にしてるつもりなのにな…だめだ、俺…』

悲しそうに目を伏せながら、そう呟いた。

「私…私ね、今日初めて怜くんと会ったんだよ?!」

『え、何言ってるの?俺と華音は付き合って半年だよ?』

え、そんなことまで…

『華音は俺のことが嫌い?』

「それは…」

半年、か…

も、そういうことにしてしまおう…

『好きに…決まってる…』