デリートボタン

怜くんは、私を家に送ってくれた。

『ごめんな、ひどいことして。俺、ほんとに華音のことす…んっ』

私は、その先の言葉を先に言われたくなくて、キスで口を塞いだ。

『なっなっ///かのっ、え///』

「その言葉の先を言うのは、私だから」

『え?///』

照れてる怜くんも、狼な怜くんも、泣きそうな怜くんも、みんなみんな、

「大好きだよ」

『華音…俺も、俺も大好きだ!』

「うわぁっ!」

突然抱きしめられたことにびっくりして、情けない声が出た。

『ほんと可愛い、華音』

そして、怜くんのかおが私に近付いた。

あと1センチもすれば、唇がくっつく、というところだった。

[おい]

後ろから低い声が聞こえた。

振り返ってみると、そこには、

「お兄ちゃん?!」

がいた。

[家の前だぞ?あほか、お前らは]

「ごっ、ごめんなさい///」

『…』

[もう、早く帰れよ、内田怜くん?]

『あー…はい…じゃあな!華音!』

「ばいばいっ!また明日ね」

『おうっ!』