デリートボタン

公園に着くと、少し向こうのベンチに怜くんが座っていた。

「はぁっ、はぁっ…怜くんっ…っ」

走ったせいで息が切れ、うまく喋れない。

『よく来たね。まぁ、座りなよ』

そう言って、怜くんは自分の隣をぽんぽんと叩いた。

私の息が整ったころ、私はゆっくり話始めた。

「ほんとに、ごめんね」

『いいよ、華音は悪くない』

「でもっ!」

『でも?』

「私…怜くんのこと傷付けちゃった…」

『ほんとにそう思ってる?』

「え?」

怜くんの方を見ると、あの時と同じ怪しげな目でこちらをみて微笑んでいた。

『じゃあさ…続き、しよっか?』

「え?…きゃぁっ!」

私が否定する間もなく、私はベンチに押し倒された。

「あの、怜くん?!」

『…黙って』

「っ…んんっ…」

強引に唇を奪われ、身動きができないよう、両手を頭上で固定された。

「んっ…れ、くん…やめっ…」

私が助けを請うのも無視して、怜くんは生暖かい"それ"を、私の口内に入れてきた。

「っ…んっ…ふぅっ…」

怜くんは唇をそっと離すと、私を見て、さっきとは違う優しい目で微笑んだ。

『華音、可愛いよ…』

そして、怜くんの唇が私の首筋に触れた。

「あっ…だめっ…人が、来ちゃ、う…」

『人が来なかったら、していいの?』

「え?」

『じゃあ、俺ん家行こっか』

「ちょっとっ、待って!」

私が待ってと言うのも無視して、怜くんは私の手を引っ張り、公園を後にした。