【短】花ひとひら






桃色の髪の毛の女性と銀色の髪の毛の男性が笑って桜を見上げている。





数年前のあの戦争で扇に描かれた絵は変わった。




お母様はこの絵をご覧になられていないのですね。





とっても、幸せそうな2人の絵ですのに。





戦争には負けてしまった私たちだけどお母様が自分と引き換えにこの城を守ってくださったおかげで私の生まれた場所はちゃんとここにある。





私にはお父様とお母様がいないのに頑張っていて強い子ねって・・・




執事から言われるけど、そんなことない。




私にはちゃんとお父様もお母様もいるの。





胸の中で3人で笑っている私たちが私には見えるから。





・・・桜の木の下で





【fin.】