苦笑いをしてそう言うと、

急に真剣な眼差しに変わった宗吾。

私はドキリとして、

息を呑んだ。

・・・

「亜紀」

「・・・はい」



「まだ結婚式は先だが、

亜紀を婚約者だと、社員に公表してもいいか?」



「?!…公表ですか?」


「・・・ああ」


「どうして、急に?」


「式を挙げる前には公表するつもりでいたが、

ちょっとした事情が出来た」


「…事情と言いますと?」


「他社の社長が、まだ結婚していない私に、

うちの娘をどうかと、言い出した」


「・・・」

私は驚き、声も出ない。


「心配することはない。

私には亜紀だけだし、結婚すると言う事は

一生モノだ…それが出来るのは亜紀、

お前だけだ…だから、この期に

公表しようと考えた。光輝も光司も、

了解済みだ」