○女神湖畔、夜
   元の4駆の内。
   若林と晶子が話している。

若林「そうか。それじゃ晶ちゃんは倒れた
   お父さんを見ていない?」
晶子「ええ、見ていません。怖くて震えていました」

若林「やはりそれは事故だったんですよ。
   自分を責めてはいけません」
晶子「母もずっとそう言ってくれますが、
   焼き物を投げつけたのは私ですし」

若林「うん?」
晶子「えっ?」
若林「だから僕の作ったハムスターの楽焼に」

晶子「そうです、一瞬その時の光景が目に浮び・・」
若林「始めて声をかけたときの驚きようも、
   昔のお父さんに僕がよく似てたからですか?」

晶子「・・・・・」
若林「そうみたいですね。しかし何で又そんなに、
   お父さんを憎んでいたのかなあ?」

   しばらくの沈黙の後、
晶子「7年前、父と母の了解を得て、ハムスターを
   買ってもらったんです、初めて。
   その頃はとてもいい父でした」

○回想、晶子の家、居間
   小学生の晶子と両親が、ハムスター
   の入ったかごを見ている。

秀夫「かわいいな」
英子「とてもかわいい。見飽きないわ」
秀夫「名前は?」
英子「もう晶子が買う前から決めてるわ。ハムリンよね」
晶子「そう、初代ハムリン」
秀夫「ハムリンか、ハハハ」

   家族3人幸せが一杯。

○回想、晶子の家、玄関、内
   秀夫が玄関のドアを開けて入ってくる。
   晶子と英子が迎えに出る。

秀夫「ただいま」
晶子と英子「おかえり、おとうさん」
   秀夫、手の包みを晶子に渡す。

秀夫「これ、ハムリンのおもちゃ」
   晶子、包みを開ける。

晶子「まあ、かわいい。ありがとうお父さん」
   秀夫と英子、微笑む。

晶子のN「はじめは父もハムリンをとても可愛
   がっていて、ほんとにいい父親でした。
   ところが3ヶ月程した頃・・・」

○回想、家、居間、夜
   英子と晶子が食卓の準備をしたまま、
   父の帰りを待っている。
   英子はテレビを見ている。
   晶子はハムリンと戯れている。

英子「おそいわね。何かあったのかしら?」
晶子「大丈夫よ・・・ほら帰って来た」
   ピンポンがなる。
   二人すばやく玄関へ向かう。
   ハムリンは晶子の手の中