○元の女神湖畔、夜
   美しい星空。
   車止めに四駆が止まっている。

○同、車の内
   若林と晶子が話している。

若林「そうだったのか。僕が昔のパパによく似ていたから。
   その贈り物のハムスターの置物がそっくりだったから、か。

   父親なんて考える事が同じなのかな。生きておられたら又
   復活して新たなプロジェクトを立ち上げておられただろうに」

晶子「いえ、ハムスターと相性が悪ければ同じことです」
若林「その後、おかあさんは?」

晶子「元気で働いています。明日夕方ここに訪ねて来ますので、
   一緒にお食事しましょう。ね、若林さん?」

若林「ええ、分かりました」
   晶子、うれしそうに微笑む。
   星空がとても美しい。

○レジャーランド、出口、外
   若林が一人立っている。
   蛍の光のメロディーがなっている。
   帰りの客が出てくる。
   晶子が出てくる。

晶子「おまたせ」
   二人並んで向かいのレストランの方へ歩いていく。

○レストラン前の駐車スペース
   若林の四駆が止まっている。
   二人立ち止まる。
若林「ちょっと早かったかな?」

晶子「ううん、ママもう着く頃。あ、きた」

   濃い小豆色のジャガーが入ってくる。
   ゆっくりと二人の前に止まる。

   ドアが開いてスカーフにサングラスの
   英子が下りてくる。

晶子「ママ、こちら小説家の若林さん」
若林「はじめまして、若林勝秀です」
英子「晶子の母です。はじめまして。若い頃のパパに似てるわ」

晶子「そうでしょう。私も最初びっくりしちゃった」
英子「明るくなったわね、晶子」
   晶子、にっこり笑って、

晶子「おなかすいた。早く何か食べようよ」
   晶子、英子の手を引いてレストランへ向かう。