○病院、外
   遠藤皮膚科の看板。

○同、診察室、内
   院長の遠藤が秀夫を診察している。

遠藤「こういうものは8割がた心因性のものでして、
   アトピーもこのような斑点もストレスからの
   ものがほとんどです。心を鍛えないと。

   ストレスに負けてはいけません。ウィルス抗体
   なんていうのは万に一いや、それ以上にも
   ありえません。念のため血液を精密検査に出し
   ますが、1ヶ月はかかるでしょう」

   秀夫は黙って聞いている。

○晶子の家の居間、夜
   電話が鳴っている。
   英子が出る。

英子「はい、斉藤です。田中さん?あの、主人の同級生の?
   ええ、ここ数日帰ってません。大事な調査で泊り込
   みだそうです。秘密の仕事だそうで、

   連絡は昼間しかつきませんが・・・。えっ!危険?
   命が狙われている?」

○電話ボックス、内、夜
   田中、電話をかけている。

田中「ええ、アシスタントの山上陽子という女性、私の勘では
   スパイだと思います。斉藤が丸め込まれておるみたいで、
   主犯格は蓮尾部長。裏で住吉商事が糸を引いています。

   業界通の話では乗っ取りはもう時間の問題で、専務派の
   巻き返しに斉藤が極秘情報を調べ上げれば、そうさせな
   いために斉藤は非常に危険な立場にいるというわけです」

○晶子の家の居間、夜
   英子が電話をしている。
英子「女性が絡んでいるんですか?・・・わかりました」
   英子、怖い顔をして受話器を置く。

   背後に二階からそっと降りてきた晶子が立っている。

○晶子の家、外
   大洋生命と書いた軽自動車が止まる。
   保険のおばさんが下りてくる。
   カバンを確かめ玄関へ。

○同、玄関、内
   保険のおばさんと英子が話している。

保険屋「この子供保険はもうすぐ満期になります。
   ご主人の保険も下取りして、1億円の大型
   保障に変更されたらいかがですか?」

英子「今いくらなの?」
保険屋「病死で3千万。事故で6千万の保障ですが」
英子「そう、6千万円ね。考えとくわ」