「もう抵抗なんかしないでさ、いい加減諦めなよ」
助けなんか来ないよ、と松田は付け足す
確かに、こんなところ普通通りすがったりなんかしない
だけど…来てくれそうな気がする
あいつなら……最低男なら
助けてくれるような気がする…
「い、やだ…たす…け、て、…」
だから声を振り絞って
助けを呼ぶ
届いでる…はずだよね
あれ、私、何言ってんだろ…
「ちっ、だから、こんなとこに来るはずないって言ってんだろ?」
松田が腕を振りかざした
ああ、もうダメだ
私殺されちゃうのかな?
私は目をぎゅっとつむりながら
大きめに口を開けて
「半田健太…!!」
と叫んだ
すると、
「なに?なんかよう?」
聞き覚えのある低い声が聞こえた

