「なんで、あんたがここにいるのっ」
違うクラスなら、私達と反対方面で、絶対会わないようにしてるはずなのに…
「あれ、もしかして。俺違うクラスのやつだと思ってる?」
「え、?」
「俺、同じクラスなんだけど」
え、そうだったんだ。全然知らなかった
てか、興味ないし
「そんなことより、こんなとこで一人でいたら危ないよ?」
周りは当然ながら真っ暗で、
なんか森みたいなとこだった
あれ、ここどこ?
ずいぶん遠くまで来ちゃったんだな
てか、この男といると、危険な感じしかしない。
とりあえず、ここから抜けだそう
「わ、私帰る!じゃーね」
と、今来た道を戻ろうとすると
「ちょっと待った」
後ろから手を引っ張られまた木に押し付けられる
「な、なによ」
「まだ、返すなんて言ってない」
「はい?」
「お前が、付き合うって言うまで返さない」
な、なんなの。コイツ、めっちゃ強引
付き合うわけないじゃない、馬鹿じゃないの?
「付き合うなら、あんたの家の借金全部チャラにしてやるよ」
ほんとになんなの、
どんだけ付き合いたいのよ
そんな手を使ったって、私はおれないから
「嫌だって言ってんじゃん、もういい?」
「まだそんな強気なんだ。そろそろ諦めなよ」
「嫌だってば!早く離してよ!」
激しく抵抗する。
でもやっぱり男の力には敵わなくて
「ちっ、大人しく言うこと聞いとけばよかったのに…」
「…はっ?」
「こうなったら、無理やり奪うしかないよね」
「え、なに、ちょ、嫌!」
松田ってやつの顔が私に近づいた
「やめて、触らないで!いやー!」
「静かに、響いたらどーすんの?ま、聞こえないと思うけど」
そう言って、手で私の口を塞いだ
「んー!んんー!」
助けて、怖い、怖いよ
…………最低男
だけど、テントから遠いし、人の気配もない。
「抵抗したって無駄。誰も来ないからね」
怖い、涙が出てくる
やめて、近づかないで、
最低男、助けてよ
お願い…っ
松田が私の服に触る
「ほんと、千夏チャン可愛いよねー。ずっと狙ってたんだよね」
そんなの知らないよ!
気持ち悪いっ!
「んぐっ、んんんんー!」
一生懸命声を出そうとしても、
口を塞がれてるからうまく話せない
もう、無理なのかな。
私ここで終わっちゃう?
そんなの嫌だよ
私の頭の中は、
なぜか最低男、半田健太のことでいっぱいだった。
助けて…

