でも気まずいなぁ




私は沈黙が苦手。





あ、
このお菓子が気に入らなかったとか?



なんだなんだ



そう考えた私は

部屋を出ようと立ち上がった。



しかし

立とうとしてテーブルについた手を
藍斗に引き寄せられて



気がついたら


藍斗の腕の中。





え、え?



ななな何これ!




私が1人でテンパってると


藍斗の腕に力が加わって



後ろからぎゅって抱きしめられた。




私の首筋に藍斗の頭がうずまる。





く、くすぐったい…





「……き。」


「え?な、なに⁉」




今の態勢にテンパって

声が裏返る。




するといきなり体を離されて


ぐるっと後ろを振り向かされた。




「…⁉」




そこには

真っ赤な顔をした藍斗のどアップ。




ち、ちかいよー!



「すき。」



…?




「え?」


「はぁ…
言葉だけじゃわかんねえのか?」




あ、ニヤってした…



そう思った次の瞬間




私の唇に藍斗の唇が重なった。





それはほんの一瞬で


夢みたいに信じられなくて。





本当の気持ちを知りたくて

藍斗を見つめる。




そんな私に気づいてか


藍斗は優しい笑顔で



「好きだよ、にいな。」





あ、夢じゃないんだ。


本当なんだ。





「わ、わ…」



私も好き。


そう言いたいのになかなか言葉が出てこない。




「わ?わ、が何?」






うぅー

これは絶対なんて言うかわかってるよ




だってそこには


にやにや笑いの藍斗。




「…分かってるくせに」



ふん、と鼻で笑ってから



「俺はにいなから聞きたいけどな」



ぎゅっと私に顔を寄せる。




ち、ち、近い!


近いってば!




「ふーん、にいなは俺のこと好きじゃないんだ…」




ちょっと悲しそうないじけた顔で


私から離れてく








「待って!」




藍斗のワイシャツの袖を


小さく掴む。




「す…好き、です。」





すると頭をぽんぽんされて



「よくできました」



優しい目で見つめられる。





私の耳元で

藍斗の唇が甘く囁く。




「ごほうび。」





藍斗の吐息がくすぐったい。




そんなことを思ってたら


また、優しいキスをされた。





うぅ///


藍斗ってこんなに甘いっけ?





「ふふっ、にいな真っ赤」




あ、やっぱり意地悪。




だけど…



「そういうとこ好き。」



なっ何を言ってんの⁉





私はたぶん

今、世界で一番真っ赤。




だって

世界で一番幸せなんだもん。





でもね


それを藍斗にいったら



「俺の方が幸せ」



って

顔を真っ赤にしながら言ってくれた。