服が擦れる音がした。多分組んでいた腕を振り払ったのだろう…

「ねぇ、何怒ってるのー?アスミ、なんかした?」

甘えた声で媚びる。正直彼女のこういうところが苦手だったけど、今は羨ましく感じた。

彼女は飽きられたのだ…悪魔に…

…そして次が私なのだ。

「っつーか、俺、女できたし〜。」

えー!?っと取り巻き男子まで大騒ぎになり、寒河江の回りが大いに盛り上がる。

私は悪い予感を感じて、寒河江の方を振り向いた。

盛り上がってる寒河江が私の目線に気付き、にやりと悪魔の微笑みをした。

思わず立ち上がり、制止を試みようとしたが、
−時既に遅し−
だった…

「なあ、蒼湖!」

全員の目が一斉に私に向いた。

男子は冷やかしたり、喜んだりを始め、女子はえー!と言っていたり、やっぱり〜っと言っていたりしている…

私はその場に立ち尽くして硬直してしまった。

「はい!注〜〜〜目!!」

寒河江が机を強く叩いて立ち上がる。

みんなが黙って寒河江を見た。