背中の真ん中……




「…一年のとき、先生と二人で寒河江を待っていた時、暇だったからこの部屋で床掃除をしていた…」

寒河江は傷をなぞりながら黙って聞いていた

「小さな地震が来て、本棚の本がガラスを破って私めがけて降ってきた

…多分バランス悪く入ってたんだと思う」

寒河江の指がピクリと跳ねる

「とっさに背中で庇って、そしたらガラスがいくつか刺さっちゃって、体の中に入るとまずいからって、すぐに先生に抜いてもらったの…」

寒河江の指は傷の上で沈黙する

「そのあと保健室に行って、病院に行って…それがその時の傷。
学校来たら、寒河江は冷たくて、変な噂も立ってて…
もし寒河江が私達を見て誤解したなら、きっと先生の前で背中を出してガラスを抜いてもらってた時だと思って、何回もこの傷を寒河江に見せて信じてもらおうと思ったけど…」

私は話す事をやめた。もう昔の話だ…

「あの日…あいつとヤッてたんじゃねーの?…マジで初めて…?」

寒河江が背中を撫でて呟いた…